Ambassadors In Action

One Young World Ambassador, Momoko Amemiya

雨宮百子

現場に行くこと、人に会うことが、「他人事」であったはずの問題を自分とつなげる。 小さなことの積み重ねが、相互理解の感覚を育み、未来と平和をつくっていく。

OYW サミットに参加した年と国:
2022年 イギリス・マンチェスター

言語:
日本語、英語、フランス語

リンク:
Linkedin
Twitter
Business Insider

OYWマンチェスター2023に参加され、現在ベルギーにいるアンバサダーの雨宮百子さんに、OYWJ理事の長森ルイがお話を伺いました。

ルイ

One Young Worldに参加される前のご経歴から聞かせていただけますか?

Momoko Amemiya
百子

大学卒業後、記者を経てからビジネス書の編集者として仕事をし、10万部を超えるベストセラーとなった『日経文庫 SDGs入門』をふくむ60冊以上の書籍を作ってきました。

経営者やリーダー層と言われる人々とお会いすることが多く、常に学びにあふれた、非常にやりがいのある仕事でした。しかしそこから、コロナを経て日本の未来に不安と危機感を感じ、別の視点で日本と世界をみるために、現在はベルギーの大学院の上級修士課程で欧州のビジネスと政治を学んでいます。

An Intro To SDGs
ルイ

続いて、One Young Worldとの出会いについてお聞かせください。最初はどのようなきっかけで参加されましたか?

Momoko Amemiya
百子

最初は東京で One Young World が行われるはずだったので、その時の招致のイベントに招待されたことがきっかけで知りました。

そこからとても素敵なイベントだな、参加したいなと思っていたのですが、私は帰国子女でもないく、英語に少し苦手意識もあったので当初は遠い存在だとおもっていました。

その後コロナ禍でしたので…ふいに「東京で行われるはずだったOne Young Worldがあれからどうなったかな」と思い調べてみると、なんと開催地がマンチェスターに変わっていたんです。

実はイギリスには行ったことがなかったので、ぜひ行ってみたい、そしてコロナを受けて、世界のリーダーの卵たちは何を考えているのか、話してみたい、と思いました。また、コロナで外に出るのが億劫になってしまっていた現状を変えたい、失った数年を取り戻すべく、新しいことにチャレンジしてみたいという思いが強くなり、応募することにしました。

ルイ

なるほど、気になってすぐ調べ、そしてすぐに実行に移されたわけですね。

Momoko Amemiya
百子

参加者の多くは、帰国子女などのイメージがあり、自分が参加するということは少しハードルが高い気もしたのですが、チャレンジしてみないと始まらないなと思って、応募することにしました。

また、 One Young World ではテーマとして「SDGs」を掲げていました。『日経文庫 SDGs入門』や『図解SDGs入門』(ともに村上芽著、日経BP)の編集を経て、私のSDGsへの関心がさらに高まったという背景もあります。

特に「ジェンダーの平等」は、同世代の女性が年齢を重ね、多様なキャリアを選択していくなかで色々な思いを抱えていたので、世界の同じ課題を感じる人たちと話し合ってみたいと思っていました。

ルイ

実際にOYWマンチェスターサミットに参加して、まずはどう思われましたか?サミットが百子さんに与えた影響についてもぜひ聞かせてください。

Momoko Amemiya
百子

最も感じたことは、自分は世界のことをまだまだ全く知らないな、という反省と、未来に対する希望です。

例えば私は特に、アフリカの人と話す機会を意識的に多くとりました。「アフリカ」とひとくくりにしてしまうほど、自分に知識がなく、また各国がどのような状況になっているかイメージがつかなかったからです。

カメルーン、コンゴ、ルワンダ、エチオピア、ガーナ……。色々とお話ししたなかで、アフリカが非常に経済的に成長してきており、自分の抱いていた貧困のイメージとは大きく異なることを知りました。もちろん、格差は非常に大きいし、植民地の「負の遺産」はいまだに存在しています。それでも、日本にいたら感じることのない「勢い」を感じました。

ウクライナからきている女の子にも会いました。彼女はIT企業に勤めていたので、どこにいても仕事をすることができていますが、自分の故郷を壊される怒りと悲しみの声を直接きいたときに、世界でおきていることは、「遠い国のできごとではない」と改めて感じました。

現場に行く、人に会う。こうしたことによって、文字や映像でしか知らなかった世界がどんどんクリアになる。「他人事」だったはずの課題が、ふいに自分とつながる。移動がなくなるなかで忘れかけていたことにハッとさせられました。

同世代と、国境をこえて繋がる。はなす。こうした小さなことの積み重ねが、お互いを理解する気持ちをはぐくみ、未来や平和をつくっていくはずです。

One Young World Ambassador, Momoko Amemiya
One Young World Ambassador, Momoko Amemiya
ルイ

One Young Worldでは次世代のグローバルヤングリーダー育成を目指していますが、グローバルへの目線というのはいつ頃からお持ちでしたか?

Momoko Amemiya
百子

祖父が商社にいた影響で、父親が幼少期に米国ですごしています。その後、父親が外資に勤めていた影響もあり、私も幼い頃から多くの外国につれていってもらいました。

なかでも、米・ニューヨークには高校生のころまで、何度も夏休みに行きました。小学校4年生の頃、夏休みを利用して現地のYMCAに1カ月ほど通うことになりました。なぜだかわからないのですが、言語が全くはなせなくても、友達ができ、楽しくすごしていました。最初に助けてくれたのはナンシーという中国系の女の子でした。絵をかいて英語をおしえてくれました。言葉が通じなくても、人間は分かり合うことができると最初に感じた瞬間です。

ルイ

先ほど英語に対する壁を感じていらっしゃった…とも伺いましたが、現在も海外で活動されている百子さんからそのような言葉を聞くとは意外な気もします。

Momoko Amemiya
百子

そうですね。一方で、YMCAでは「ほんとうに英語が話せないの?(そんな人間みたことない)」という米国人の男の子に追いかけられることもありました。黒人の女の子は、彼にテニスラケット(のようなもの)を投げつけられており、人種差別も感じました。

言葉は話せなくても、通じる。でも一方で話せないことは、いじめられるきっかけにもなるのか、と強く感じた瞬間でした。沢山の外国人と仲良くなりたい一方で、話せない、話しかけられても答えられない恐怖……。いろいろな感情がごっちゃになっていました。

でも、こうした経験が、世界の現実を私に突きつけ、関心を強くしたとおもいます。

ルイ

現在はベルギーを拠点に活動されていますが、ベルギーから日本を眺めて気づいた点を教えてください。

Momoko Amemiya
百子

ひとことでいうなら、「みんな違って当たり前だし、それでいい」ということです。大学受験、就活、婚活、妊活……。気付けばなにかの「活動」に追いかけられている人が日本ではとても多い気がします。日本にいるときに、私も色々な相談にのりましたが、それは気付けば自分ではなく「他者」が基準になっているのではないか、と思うこともありました。 そういう私も、「会社をやめたら生きていけないのではないか」「〇〇は転職した/起業した」……など、他人が基準になって、勝手に自分で不安を抱えていた時期があったことを思い出します。日本はそういう情報が多すぎるし、染まりやすい空気があるのかもしれません。

ベルギーは、色々な国の人が集まっています。1クラスのなかで10ヵ国以上の国籍の人がいるのはあたりまえ。違ってあたりまえなので、ルールに一律にあてはめる、という思考もないのです。

やりたいときに、やりたいように、各自が生きている。私はそれってすごく素敵なことだと思ったし、いまの日本に足りない視点の気もします。

ルイ

ベルギーでは、日頃どのように過ごされていますか?

Momoko Amemiya
百子

正直、勉強など含め「やるべきこと」が多くて、家にいることも多いです。でも、知らない文化のなかで新しい言語を学ぶこと、One Young Worldのように、いろいろな国から来た人と日々話すことができる環境は、刺激にあふれています。

知らないことを知ることは、私はとても好きなので「そんな考え方があったの!」「日本ではこうだよ」と話すなかで得られることは、非常に多いです。

海外生活に憧れを抱く人もいるとおもうのですが、東京は本当に便利な場所です。ベルギーでは電波が途切れるのでオンラインMTGをしながら移動なんてできないし、3分まっても電車はきません(笑)。でも、その代わりに自然を楽しむ心の余裕や、家でご飯をつくり、みんなで食べる喜び。新しいものをかわず、「足るを知る」心地よさなどを学びました。

とくに、今住んでいるところは広い!場所にもよりますが、東京よりもはるかに安い価格で広い家にすめるのです。鳥の鳴き声が聞こえたり、馬が道をあるいていたり。考え事や勉強をするにはかなりよい環境です。

一方で、ベルギーは色々な国と近いので、気軽にパリやドイツなどEU諸国にいけるのは最大のリフレッシュかもしれません。

ルイ

「キャリアとライフ」が百子さんのキーワードかと思いますが、今後の百子さんのキャリアとライフに関するプランをぜひ聞かせてください。

Momoko Amemiya
百子

なるようになる、だとおもいます(笑)普段はわりと戦略をたてて行動することがすきなのですが、正直ちょっとそれで見える未来に飽きてしまった、もっと予想外のことがおきたほうが、大変そうだけど楽しい、という気持ちはあります。

国際機関で働く、というのもやってみたいことの1つではあるし、自分の事業を拡大させる、お声をかけてくださるかたのサポートをする、ということの延長もありかもしれません。私は「こんな人がいたんだ、すごい!」「こんな考え方があったのか」という「発見」がすきなので、そうした自分なりの発見を「編集」し、色々な形でお伝えしていけたら楽しいかなと思っています。

ルイ

ありがとうございます!最後に、次世代の女性リーダーたちに向けて、ぜひメッセージをお願いします。

Momoko Amemiya
百子

「合わないな」と感じたときに、そこに合わせるのではなく、「自分の合う場所を探す」という視点をもっていると面白いかもしれません。「おかしい」「変なの」といまの場所でいわれるようなことでも、世界では「なんてクレイジーなんだ!最高だよ!」「あなたはとっても魅力的」と言ってくれる人がきっといるはずです。

もし、後者の人生を生きたいとおもったときは、積極的に外にでてみることをすすめます。世界には、予想外の生き方をしている人がいるし、そうしたひとたちを見るなかで自分を改めてみつめる機会にもなるでしょう。

「TOEIC●点とったら」「●円たまったら」という目標もいいかもしれませんが、人間は先延ばしにしてしまいがちな生き物です。「えいや!」でやってみたら意外とどうにかなったということは多いとおもいます。でも、100%の無計画はおススメしにくいので、ロマンとソロバンを大事にしながら、「イマできること」はしたたかに、できるうちに進めておくと、選択肢が広がるはずです。

少子高齢化がすすむ日本の職場では、40代後半でも「若手」と言われる時代です。であれば、20代・30代なんてひよっこです。いっぱい失敗した分だけ強くなれる、世界がひろがる、と私は日々おもっています。

AMBASSADORS IN ACTION – Momoko Amemiya
トップへ戻る